市立室蘭水族館は北海道最古の水族館で、開館当時(1953年)は道立でしたが、1962年に室蘭市に移管されました。
今回はこの70年近い歴史を持つ小さな水族館について紹介していきます!
この建物は本館で、この建物をメインに生き物を展示しています。(室蘭水族館のマスコットはアブラボウズがモチーフになっています。)
市立室蘭水族館には冬期休暇があるため注意が必要です。(HPやSNSの情報を参考にしてください。 参考:2020年10月12日~2021年4月22日まで冬期休暇)
市立室蘭水族館の基本情報
市立室蘭水族館は1953年に開館した北海道の中で最も歴史のある水族館ですが、改修されているためか、そこまで古さを感じない作りになっています。
市立室蘭水族館へのアクセスについて
市立室蘭水族館の最寄り駅はJR室蘭本線の室蘭駅ですが、歩くと一時間程度かかる位置にあります。
そのため、東室蘭駅や母恋駅、室蘭駅からバスに乗車する必要があり、「みたら・水族館前バス停」にて下車して徒歩で数分です。
乗り換えがある場合もあるので、Googleの経路案内に従うのが一番楽だと思います。
市立室蘭水族館の割と近くに登別マリンパークニクスがあります。(登別マリンパークニクスは市立室蘭水族館とは異なり、駅から徒歩数分というアクセスが良いです。)
市立室蘭水族館の入園料について
市立室蘭水族館は規模としては小さいですが、入館料は大人で400円と非常にリーズナブルです。(アザラシ、ペンギン、魚と一通り展示されています。)
詳細な入場料金は以下の表のようになっています。(2020年12月23日時点)
大人 | 400円 |
---|---|
高校生 | 200円 |
1歳~中学生 | 100円 (市内の方は無料) |
0歳 | 無料 |
施設内にはメリーゴーランドや観覧車などの遊具もアトラクションも設置されており、乗る際には券売機で乗り物券(80~200円)を購入する必要があります。
このような遊具もあり、入園料も安いためかファミリー層が多かったです。
市立室蘭水族館とペンギン
市立室蘭水族館ではフンボルトペンギンが展示されており、私が訪れた際には若鳥も一緒に展示されていました。
コロナ感染症対策で私が訪れた際はイベントが中止されていましたが、平時はフンボルトペンギン達が100m を往復する姿を見ることができるようです。(近くの登別マリンパークニクスでもペンギンの行進を行っています。)
市立室蘭水族館では20羽程度のフンボルトペンギンを展示しているようです。
市立室蘭水族館と海獣
市立室蘭水族館ではゴマフアザラシ、ゼニガタアザラシ、トドという3種の海獣を展示しています。
トドだけは離れたプールで展示されており、ゴマフアザラシとゼニガタアザラシは同じプール内で展示されていました。
アザラシは小樽水族館と同じようにオスとメスが別のプールで展示されていました。
あまり知られていませんが、市立室蘭水族館はゴマフアザラシとゼニガタアザラシの繁殖賞を受賞している施設となっています。(繁殖賞とはJAZA加入の施設のうち、最初に繁殖させ、誕生した個体が6ヵ月以上生存した場合に与えられる賞です。)
ゼニガタアザラシとゴマフアザラシは同じプール内で展示されていますが、模様が違うので外見で簡単に見分けることができます。
上のように銭型の模様があるのがゼニガタアザラシです。
ゼニガタアザラシは日本沿岸に定住している唯一のアザラシです。
こちらの黒色の斑点があるのがゴマフアザラシです。
市立室蘭水族館ではゼニガタアザラシの方が多く展示されています。(2020年9月に訪れた際はゴマフアザラシ3匹、ゼニガタアザラシ6匹展示されていました。)
オスが展示されているプールの方にはガラス面で泳ぐ姿を見ることができる場所があります。
アザラシが展示されているのは入り口近くの目立つ場所ですが、それよりも分かりにくい場所でトドは展示されています。
アザラシプールと比べると頑丈に囲まれており、観察しにくい作りとなっています。
プールも濁っており、水中を泳ぐ姿は観察しにくいので、定期的に呼吸に上がる時が観察のチャンスです。
私が訪れた際は小樽水族館からやってきた、モグちゃんという2歳の個体が展示されており、それまで展示されていた個体は小樽水族館へ移動したようです。
私が訪れた際はコロナでショーは全て中止になっていましたが、トドのショーの練習やアザラシへの餌やりなどが行えるイベントがあるようです。
市立室蘭水族館と本館
市立室蘭水族館の本館は魚が展示されている建物で、市立室蘭水族館のメインの展示施設となっています。
市立室蘭水族館では、壁に大きな水槽が並べて埋め込んであるような開館当時には一般的だった手法で水槽が設置されています。(市立室蘭水族館以外では東海大海洋博物館の一部展示エリアと似たような展示です。)
小さな水槽が並んでいるのも良いですが、大きな水槽が横に並んでいるのダイナミックで迫力があります。
本館は1Fと2Fに分かれているため、それぞれに分けて紹介していきます。
本館内の1F部分
1F部分がメインの展示エリアとなっており、海水魚が展示されています。
市立室蘭水族館は他の多くの施設で展示されているようなクマノミやチョウチョウウオなどサンゴ礁で見られるカラフルな魚を展示しておらず、北海道周辺で見られるような魚が多く展示されています。(南方の魚も少ないですが、展示されています。)
そんな室蘭水族館の本館内で展示から、オススメの展示を紹介していきます。
上の写真の水槽は本館の1F内では最も南方感のある水槽で、大きなグリーンモレイやウツボ、トラウツボ、クエ、ドチザメなどが展示されています。
上の写真はグリーンモレイという緑色の体色が特徴のウツボです。
グリーンモレイは展示している施設が少なく、市立室蘭水族館の他では東京都のしながわ水族館でしか展示されていません。
大きな体で非常に良く目立つので是非観察してみてください!
市立室蘭水族館のシンボルであるアブラボウズも複数展示されています。
アブラボウズは水深1,000m以上の深海にも生息している魚で、脂分が多く含まれている事が名前の由来となっています。
アブラボウズを日本で初めて飼育に成功したのが市立室蘭水族館となっています。
アブラボウズを展示している施設は登別マリンパークニクス、鴨川シーワールド、名古屋港水族館などがありますが、複数展示している施設はほとんどありません。
上の水槽ではロックフィッシュと呼ばれるメバル科の魚を多く展示しており、クロソイ、エゾメバル、オウゴンムラソイ、アイナメなどが展示されています。
この中でもクロソイは室蘭市の市の魚にも指定されています。
また、オウゴンムラソイは体側に黄金色の模様があるのが特徴の非常に綺麗な見た目をしているソイの仲間で、おそらく市立室蘭水族館でのみ展示されています。
展示されている水槽の多くが上のように北海道周辺に生息している生き物を展示している水槽となっています。
上のようにオオズワイガニと呼ばれるカニが団子状になっているのを見ることができました。(ズワイガニにしては大型種に成長することが名前の由来ですが、脚が細長いからかあまり大きく感じません。甲羅長が15cm程度にまで成長)
食用のカニとしてはズワイガニと並んで知名度が高いカニですが、展示している水族館は少ないです。
私が訪れた際はお食事中でした…
館内で最も大きいであろう魚は上のダウリアチョウザメというアムール川流域を中心にオホーツク海や日本海などでも見られるチョウザメの仲間です。
チョウザメの中でも怖い顔をしている種類で、同じく道内の登別マリンパークや小樽水族館でも展示されています。
紹介した水槽以外にも魅力的な生き物が展示されている水槽が並んでおり、北海道周辺の生きものの展示は豊富で、他ではあまり見られない種類も多いです。
市立室蘭水族館では展示種類は少ないですが、クラゲも展示されています。
上の写真のシンカイウリクラゲというクラゲの仲間で、一般的なヒラヒラとした触手を持つクラゲとは違い、瓜型の形状をしたクラゲの仲間です。
泳ぐ際に表面の櫛板を動かして泳ぎますが、櫛板が周囲の光を反射する事で上のように光っているようにも見えます。
シンカイウリクラゲの光の反射#シンカイウリクラゲ pic.twitter.com/KivZyTJI6H
— 五和@動物系ブログ運営中 (@BfngVpdKPA11in5) 2021年1月24日
元気な個体が展示されており、櫛板が反射する様子も見ることができるので、訪れた際は是非泳ぐ姿を観察してみてください。
上のクラゲはヤナギクラゲという長い触腕と触手を持つクラゲの仲間で、ヤナギクラゲの仲間は大きく成長し、触手・触腕が長く、流行りのライトアップでの展示とも相性が良いのでクラゲに力を入れている水槽でも多く展示されています。
上のように時間によってライトの色が変わる水槽でヤナギクラゲを展示しており、様々な色をしたヤナギクラゲを見ることができます。
上のクラゲはタコクラゲという種類で、丸い傘と傘にある水玉模様が特徴のクラゲです。
今回紹介したクラゲ以外にもミズクラゲという多くの水族館で見られる一般的なクラゲも展示されています。
2F部分は1Fに比べると展示スペースは小さく、淡水魚を展示している水槽が10個程度設置されています。
上のように壁に埋め込まれた小型の水槽の中で淡水魚(熱帯魚)を展示しています。
展示されているのはプロトプテルス・ドロイ、セルフィン・プレコ、スポッテッド・ガーなど中型の淡水魚が多いです。
2Fに展示されている多くの水槽が上のように何かしらの色で薄くライトアップされていました。
淡水魚の他にはクジラの仲間に関する資料が展示されています。
北海道とクジラの歴史に関する資料や捕鯨に関する資料もあります。(近年のクジラの情報も掲示されています。)
写真や骨格標本などを交えて分かりやすく掲示されているので、興味がある方は是非訪れて見てください。
その他の展示について!
本館とアザラシ・トド、ペンギンがメインの展示ですが、それ以外にも生きものを展示している場所があるので紹介します。
上のようにコイを展示しているプールがあり、餌を与える事もできます。(有料だった気がします。)
上の写真は2019年に新しく作られたビオトープで、エゾサンショウウオ、エゾアカガエル、イバラトヨミ、ザリガニなどがいるようです。
私が訪れた際は草が生い茂っていたため、見つけることができませんでした…
この他にもタッチプールやドクターフィッシュ体験もありますが、私が訪れた際は感染症対策のため中止されていました。
市立室蘭水族館のおまけ情報
市立室蘭水族館は茨城県にある大洗水族館と姉妹提携を結んでおり、大洗水族館には市立室蘭水族館から輸送された北海道の魚を展示した水槽があります。
市立室蘭水族館との連携によって実現した水槽です。(ホッケやケムシカジカ、スケトウダラなどが展示されています。)
室蘭から大洗水族館までどのように魚を輸送したのか、パネルで説明されているので、興味がある方は大洗水族館を訪れた際に確認してみてください。
関東では展示している施設も少ない北海道の魚達を展示している水槽となっており、北海道には行けないけど北海道の魚の魚を見たい場合にはオススメです!
大洗水族館はサメの展示で有名な水族館で、サメの飼育種類数は国内で最も多い水族館です。
施設自体が大きいので、サメ以外の展示も充実しています。
市立室蘭水族館はクジラの解体処理場跡地に建設されており、捕鯨に使われていた捕鯨砲も見ることができます。
大正時代には捕鯨が活発に行われており、その際の資料やクジラに関する資料も展示されています。
館内にも模型や骨格標本、壁にもクジラの絵が描かれていたりとクジラとの関わりが強い水族館です。
市立室蘭水族館は規模としては小さい水族館ですが、ミニ遊園地が併設されており、ミニ水族館やタッチプール、餌やり体験などお子様連れの方にも非常にオススメの水族館となっています。(そして入場料もリーズナブルです!)
他の施設ではあまり見られないような生き物も展示されているので、興味がある方は是非訪れてみてください。
ここまで
最後までお読みいただきありがとうございます。